スィミア 第一章‐2

※前回の続きです。


・・・そんなこんなで今日の授業は終わった。
あーあ、どいつもこいつも俺のことバカにしやがって・・・。
あ、自己紹介がまだだったな。
俺の名前はアシュレッド・ベルリアス。皆からは“アル”って呼ばれている。
俺は東国の東の果てにある首都、モレギアに住んでいて、そこにある魔術学校に通っている。
魔術学校は8年制で、俺は6年生。下の4年生と1年生には妹がいる。
成績は・・・さっき俺の近席の悪がきが言ってたように、魔術以外は並の生徒となんら変わりない。
魔術っていうのは、東国で最も盛んに教育されている教科で、世界中に出ていっている有名な魔術師は東国出身が多いほど教育に力を入れている、東国が誇る財産の一つだ。
俺の魔術の成績は、上級生を差し置いて魔術学校中で一番を争うほど。自覚はそんなにないが、上級生よりはできる魔法が多いことはなんとなく分かっている。
魔術は、才能がある生徒は勉強しなくても実力を伸ばしていけば成績は上がるのだが、素質が全くない奴は勉強しても練習しても伸びないことが多い。つまり、魔術は才能、素質の有無で成績が決まっているようなもんだ。
俺の家系は先祖代々魔術の才能に恵まれていて、俺の家族はみんな魔術が上級レベルだ。
「アールにーちゃーん!」
・・・一人を除いて。
「あれー、無視ー?ねぇーねぇー、聞こえてますかー?」
「メル・・・、“読める空気”を探してこい」
「なにそれ?そんなことより、一緒に帰ろーよっ!」
「嫌だ」
「えー?!なんでなんで!?いいじゃんか兄妹そろって帰るくらい!それとも何?・・・あっ、もしかして照れくさいとか!?もー、そんなこと思わなくたっていいんだよ?ここらじゃ普通に家族で帰ってる生徒いっぱいいるから!・・・ってあれ、ちょっと、にーちゃん歩くの早いってば!!」
なんで学校終わって早々、こんなやつの面倒見なきゃいけないんだよ全く・・・。
このうるさいのは俺の下の妹、メリアーヌ・ベルリアス。通称メル。今年魔術学校に入ったばかりの新米魔術師だ。とはいえ、使える魔術なんてまだほんの少ししかないんだがな。
聞いて分かるように、こいつはとにかく空気が読めない、鈍感、自己中心的、あほの四拍子が素晴らしくきれいに並ぶ、ベルリアス家の出来そこないだ。
本当だったら1年生のうちから魔術の成績がトップにあるはずの“ベルリアス”だが、メルの場合、なんと学年ビリ。・・・最初聞いたときは驚きを通り越して腰を抜かしてしまった。こんな年で。
俺は才能は絶対あるはずだからとにかく練習しろ、と何度も言っているんだが、当の本人は全くやる気を見せない。今度一回ぶん殴ってみようと思う。
「あ、そうだ、ねーねーにーちゃん!あたしアイス食べたい!魔術でだして!」
「はぁ!?お前、食べ物出す魔法くらい、1年生の最初の方で習っただろ!?自分でやれよ!」
そう言うと、メルは人差し指を立てて横に振りながら、
「にーちゃん、甘いよ。あたしの魔術の成績を知ってるでしょ?無理です☆」
自身満々に言った。
「・・・ジオレント・イーオ・イーキャン」
俺が呪文を唱えると、ポンというビンのふたがとれたような音とともに、ピンク色の煙が現れ、そこから一つの紙カップが出てきた。
「おぉー!にーちゃんすごい!!さっすが魔術学校一!」
「習えば誰だってできる魔法なんだが」
「あれ?でもなんでこれ紙カップのアイスなの?にーちゃん、前に特大サイズのチョコアイスパフェだしてくれたじゃん」
「お前がこれくらいの魔法ができるようになったらだしてやるよ。それまで大きいのはおあずけ」
「えー!?にーちゃんのケチ!できるわけないよ!あたしどんだけばかか知ってるでしょ!?」
「あのなぁ・・・」
「あーもー!こんなになるんだったら、最後にアイス一年分頼んどくべきだったよー!」
さすがに我慢の限界だ・・・。説教しようとして口をあけた、その時。
「いい加減にしなさい!メル!!」
甲高い、しかしどこか少し男ざめたアルトの声が辺りに響いた。
「ね、ねーちゃん・・・」

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☆あとがき☆

ねーちゃんです☆←
・・うそです、ごめんなさい(笑)

新キャラ登場です!!メルちゃんです!
人によってはうざいと思っちゃうかもしれませんが、気にしないであげてくださいww

前回言い忘れていましたが、前に投稿した、「小説の説明的な何か←」のキャラ紹介のところに、アルの絵をうpしました!ぜひ見てってください♪

●追記
「小説の説明的な何か←」にメルの絵をうpしました!